vol.5 芳しき女性シンガーソングライターの世界。

自分は無音が苦手で、いつも部屋ではラジオやユーチューブが流しっぱなしです。
そんな生活をしていると、たまに"何だこれは"という音楽が流れて参ります。

それを、女性シンガーソングライター括りでまとめました。

(youtubeの再生回数順に並べてます。)

①St. Vincent - Cruel
https://youtu.be/Itt0rALeHE8

名前は知っているけど、楽曲は聴いたことはないという人が意外と多い。
美しい、高解像な和声でポピュラーな世界を演出したと思えば、ギターによるオルタナティブなロックリフが展開される。
そして、ギターソロがおぞましい。
Rolling StonesのSatisfactionがファズサウンドの原点として語られるが、それ以上に原始的かつ単調なリフ。
ファズというエフェクターは、それ単体で楽器として機能するという事を再認識させられる楽曲です。


②Japanese Breakfast - Boyish
https://youtu.be/t3bjPGUDl1k

冗談の様な名前だが、割りと利にかなった由来があるらしい。
ポストロックやドリームポップ、もといシューゲイザーの類いは、電子機器の発達に伴って、ギターのサスティーンを残響音楽として昇華したジャンルであり、内省的な芸術表現としてロックが深化した姿だ。
その後技術が進歩するなかで、便利な機材が多産されていくが、必要な機材を使うというより、必要以上に機材に使われるミュージシャンが増えてしまってる。
そんな中、目新しいサウンドを使って個性を出すのでなく、自分の中の個性にあったサウンドを選び出すセンスは貴重な存在だと思いました。


③Courtney Barnett - Nameless, Faceless
https://youtu.be/HZZSYDhx0FI

詩的な要素を多分に含んだらシンガーソングライターでありながら、個性的なエレキギターのプレイヤーでもある。
コードワークや、音色、リズムや歌い方にどこか懐かしい雰囲気があり、60年代のロックファンである自分には、とても安心感のあるグルーヴ。
かといって、古い機材を使って、古い音楽理論に基づいて、古いポップソングを焼き増しにしているわけではなく、所々に現代的なセンスが光っている。
ファッションは螺旋のように、同じエッセンスが、違うセンスによって再発明されて廻ってるというが、まさにこの事だと思う。


Kaki King - Gay Sons Of Lesbian Mothers
https://youtu.be/SI9ke2Ju7XY

とても素敵なルックスのアコースティックギターが、彼女のシグネイチャーモデルでした。
ギタリストとしても、シンガーソングライターとしても超一流であり、活動は多岐にわたる。
その中でも個人的には、スライドギターを用いたルーパープレイが大好きです。
ルーパーという機材がメジャーになるにつれて失われた、ルーパーでしか生まれる事のない音楽的感動が、生きた形で存在しています。
女性のギタリストの中で、世界一好きな人です。
アコギのインスト演奏や、歌モノの音源も素晴らしいです。


⑤Mattiel - Je Ne Me Connais Pas
https://youtu.be/UsEEKkHOq_g

情報がほとんど出てこない、謎のシンガーソングライター。
イントロから光る、音楽的なセンスが凄い。
ギターから感じるレトロと、リバーブの加減に感じるモダンが堪らない。
そして、メロディやビートからくるポップなムードの中に、フックの効いた展開が刺さるオルタナ的な刺激は、中毒になりそうな心地よさだ。
ベックを彷彿とさせる、多才かつ、多能な才能の持ち主だと思ってます。
あと、PVのセンスも好きです。



……以上。

音楽を性別で括るのはナンセンスだと思うけれど、女性特有の才能として、音楽を必要最低限の要素で成り立たせる感性があると思いました。
男としては、理屈や技術で落とし込みがちなところを、天性のバランス感覚の様なモノで切り抜けてる気がします。
あと、ポップネスの中に毒を忍ばせるのが上手ですね。
自分も頑張ろうと思いました。にゃん。